ミネラルについて ~銅~

前回はミネラルの中のマグネシウムに続き亜鉛の働きなどについてお伝えしました。

マグネシウムは、細胞代謝(解糖、脂肪、タンパク質代謝)においてさまざまな役割を果たし、不足すると疲れやすくなったり、集中力の低下、慢性疲労、循環器系疾患に陥りやすくなるというお話をしました。

はじめて知る働きなどもあったと思います。覚えていますか??
マグネシウムとミネラルの働きを簡単におさらいしてみましょう。
マグネシウムは、細胞代謝(解糖、脂肪、タンパク質代謝)においてさまざまな役割を果たし、不足すると疲れやすくなったり、集中力の低下、慢性疲労、循環器系疾患に陥りやすくなります。
亜鉛は、筋肉組織の成長、構築、修復、エネルギー生産、免疫状態に関わっていて亜鉛の摂取状況が悪いと心肺機能、筋力、持久力が低下すると言われています。また亜鉛は舌の表面の味蕾にある細胞をつくる働きもしています。

この 2 つのミネラルだけでも体にとって非常に大切な役割をしているのが分かりますよね。特にアスリートにとっては欠かせない栄養素です。
今回もミネラルのなかでもあまり知られていないアスリートにとって大切な栄養素をお伝えしていきたいと思います。

今回は『銅』についてお話していきたいと思います。
みなさんミネラルと言われたときに『鉄』は思いついても『銅』はなかなか思いつかないと思います。しかし貧血などの鉄不足による症状は銅にも深く関係しています。他にも多くの役割を担っています。銅の働きについて詳しく見ていきましょう。

《酸化ストレス》

主な銅の働きとして銅はエネルギー代謝と抗酸化にも関与しています。このよく聞く抗酸化!アスリートは酸化ストレスになりやすいので抗酸化対策が必要になってきます。酸化ストレスとは活性酸素と抗酸化物質のバランスが崩れた時に起こります。生理学的条件下では、体は活性酵素の生成に対処するのに十分な抗酸化防御を持っています。活性酸素が、生体内で常に産生されるにも関わらず、我々が体内の恒常性を維持できるのは活性酸素から自己を防御する抗酸化防御機構が備わっているおかげです。
抗酸化防御機構は、活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促す働きを有しています。ただし、酸化剤種は、過剰に生成された場合、または天然に存在する抗酸化防御が不足している場合に体に悪影響を及ぼす可能性があります。安静時または低強度の運動中、活性酵素は運動中の筋肉の最適な血管拡張と充血を促進すると言われています。対照的に、激しい運動中に誘発される活性酵素の過剰な増加は、血流と血管拡張能力を損なう可能性があり、過剰な活性酵素の生成は、運動能力を損なうと言われています。さらに、運動選手の慢性酸化ストレスは、日常の過度のトレーニングによって引き起こされ、慢性疲労 、長期のパフォーマンス低下、筋萎縮、病気と関連しているとの報告もあります。アスリートにとって抗酸化対策が大切な理由が分かったと思います。抗酸化対策としてビタミン C やビタミン E などの栄養素はよく知られていすが銅もこの抗酸化に働く抗酸化酵素です。

《銅と鉄》

貧血などの症状があるとみなさん鉄を真っ先に頭に思い浮かべると思います。

もちろん鉄も大切ですが貧血の症状に関わっているのは鉄だけではなく銅も大きく関与しています。銅がたんぱく質にくっつくとたんぱく質は鉄を体の隅々に輸送することができるようになります。つまり鉄がヘモグロビンの材料になるためのサポートをしています。鉄が不足すると全身に酸素を運ぶ量が少なくなって、貧血やめまいを起こしやすくなります。

 

《銅の働き》

神経伝達物質としてのヘモグロビン合成、鉄の酸化、細胞呼吸、抗酸化防御ペプチドのアミド化などの適切な臓器機能と代謝プロセス、および色素と結合組織の形成に動物と人間が必要とする重要な微量栄養素であると言われています。簡単にまとめても銅にはこれだけの役割があります。
銅は牛、豚、鶏などのレバー、魚介類に多く含まれており、植物性食品にはあまり含まれていません。
微量ミネラルなので通常の食生活で不足すことも少なく、たくさん摂ってもそのまま排泄されるので過剰摂取の心配もほとんどありません。
しかし不足すると先ほど説明したように貧血になったり、摂りすぎないように日本人食事摂取基準では耐用上限量も設けられています。バランスのいい食事を心がけ過不足がないようにしましょう。

ぜひマグネシウム、亜鉛そして今回新たにみなさんの知識に増えた銅などのミネラルも意識して食事を摂るようにしてみてください。次回もまだまだ働きが知られていないミネラルを紹介していこうと思っています。

 

【参考文献】

● Cristina Nocella,Impairment between Oxidant and Antioxidant Systems: Short-and Long-term Implications for Athletes’ Health 2019
●Cristina Vassalle,Biomarkers Part II: Biomarkers to Estimate Bioefficacy of Dietary/Supplemental Antioxidants in Sport 2015
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●牧野直子監修 世界一やさしい!栄養素図鑑 2016